漫画と本を真面目にレビュー

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アポロの歌(手塚治虫)

手塚治虫さんの作品です。

【ストーリー】
母親が浮気を繰り返し、自身の本当の父親が誰なのかもわからないという不幸な境遇で育った近石昭吾。その境遇が原因で、交尾する虫や動物すら憎らしく思い殺してしまう程、「愛」というもの自体に憎悪を持つようになってしまう。猫を殺し、精神病院へ入った昭吾は、電気ショック治療により見た夢で女神像に「愛を憎んだ罰を受けなければならない」と告げれらる。



「胎児―それは 男と女 オスとメスとの 誠実な愛のしるしである
誠実な愛がなれれば 人類の歴史はつづかなかっただろう」

ラストシーンのこのナレーションがこの作品のテーマとなっています。

性教育をテーマにした手塚作品には少女向けの「ふしぎなメルモ」や少年向けの「やけっぱちのマリア」がありますが、この「アポロの歌」は大人向けに愛と性を扱った作品です。愛を憎んだ罰として、女神から悲恋を次々に体験させられるというつらいつらい悲劇の物語です。壮絶な体験を通して愛を憎む昭吾の心が変化していく様子を通して、手塚治虫さんの愛・性に対する思いが表現されていると思います。

こう書くと重苦しい作品のように感じるかもしれません。確かにテーマは重いですし全体的なトーンも暗いですけど、スピーディーなアクションや、いかにも大人向け手塚作品という感じのヒューマニズム描写が手塚ファンにとっては馴染みやすいと思います。文庫版で2冊というボリュームも適当だと思いますから、トータル的になかなか読みやすい作品に仕上がっていると思います。

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