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漫画と本を真面目にレビュー

私の読んだおすすめ漫画と本の感想を真面目にコツコツ書きためます。

MW[ムウ](手塚治虫)

手塚治虫さんのストーリー漫画の中でも、過激な性や狂気の描写が特徴の作品ですが、スリリングでダイナミックなストーリー展開で、息つく間もなく一気に読ませる大傑作です。

【ストーリー】
エリート銀行マンの結城美知夫の裏の顔は凶悪殺人犯であった。旧友賀来神父の元で懺悔をする結城であったが、実は2人は同性愛者として肉体関係を結んでいた。少年時代、沖ノ真船島を訪れた2人は、島に駐留する某国軍の化学兵器「MW(ムウ)」が漏洩事故に巻き込まれ、大量の島民の変死を目の当たりにしそのトラウマと毒ガスを吸ったショックから、結城の心に狂気が芽生える。物語は事件当事者への復讐として次々と凶悪事件を繰り替えす結城と、結城を救済すべく奔走する賀来神父の姿を描く。


漫画好きな私ですが、ごたぶんに漏れず手塚治虫さんの作品を数多く読み漁りました。こういったシリアス・ストーリー系の作品は「きりひと讃歌」「奇子」など数多いですが、この「MW」は特にショッキングで印象に残っています。いわゆるピカレスク・ロマンなのですが、主人公の結城美知夫の狂気と残虐性の描写が恐ろしいほどです。ストーリーの中で次第に明かされていく事件の真相と、エスカレートする結城の犯罪行為の描写によって、物語がどんどん加速していくような印象があります。

ところで、2009年公開予定で映画化されているようですね。必ず見に行こうと思います。
映画・MW公式サイト

それから、こちらのサイトでチラ読みできるようです。



楽天ブックス
MW(ムウ)(1)
MW(ムウ)(2)

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無頼伝 涯(福本伸行)

「天」「カイジ」シリーズなどのギャンブル漫画の大家、福本伸行さんの作品です。

【ストーリー】
殺人の濡れ衣を着せられた天涯孤独な少年「涯」。逃亡の末に投降した涯は、離島に建設された更生施設とは名ばかりの実質監獄のような「人間学園」に入所、そして脱獄と無実の証明へ向けて奮闘する。

福本伸行さんお得意の悪漢ヒーローものの中でも異彩を放っています。無実の罪を着せられた主人公涯の逃亡シーンというスリル、スピード感あふれるアクションシーンから始まり、「人間学園」への入所、脱獄とテンポよく展開していきますが、間々に彼が現在の境遇に至ったエピソードや冤罪の詳細が挿入され、徐々に事件の全貌が開かされていきます。

また、福本さんの真骨頂ですけど悪役キャラの「ヤなヤツ感」が素晴らしいです。悪趣味、変態を描かせたらこの人はまさに天才的です。それだけに主人公の活躍に対するカタルシス感が一層増幅します。

物語のテンポのよさと、コミックス全5巻というコンパクトなボリュームによって、気軽に一気に読めてしまう作品ですが、内容が濃く凝縮されていますから、決して物足りなさを残しません。福本作品の中でも特におすすめ度の高い作品になっています。