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漫画と本を真面目にレビュー

私の読んだおすすめ漫画と本の感想を真面目にコツコツ書きためます。

魔太郎がくる!!(藤子不二雄A)

魔太郎がくる!!藤子不二雄Aさんの作品です。

【ストーリー】
いじめられっこの主人公の中学生・浦見魔太郎。彼はいじめを受けると不思議な能力”うらみ念法”を使っていじめた相手に復讐をする。

基本的に一話完結形式で読みやすいものになっています。魔太郎をいじめる相手というのがすごいです。まずすごいのがその絵。ひと目見てイヤなヤツをわかる抜群の絵です(笑)。藤子不二雄Aさんはイヤなヤツを描くのが本当に上手ですよね。そしてその復讐もすごい。「悪夢を見せる」「通りすがりの相撲取りに張り倒させる(笑)」などといったライト(?)なものから、「顔を割る」「メドゥーサに変身させる」「顔をユガませる」といった取り返しのつかないものまで。

基本的にヒドイいじめを受ける→強烈な仕返しをするというカタルシスを味わう作品なんですけど、そこは藤子不二雄Aさんですから、時に見せる暴走っぷりもまたこの作品の醍醐味だと思います。例えば家にあがり込んで迷惑行為をする”ヤドカリ一家”という悪役に対する復讐は・・・?と思ったら、彼らを他の家に押し付けるという解決。復讐してません(笑)。またある時は父親にイジワルする会社の同僚に催眠術をかけて、オフィスで「部長のマヌケ!社長のマヌケ!」と言わせる(笑)。もう、素晴らしい暴走のしかたです。

テレビで見た藤子不二雄Aさんのインタビューによると、この作品の発表当時あまりにも反響が大きかったので、それ以来復讐内容を若干マイルドにせざるを得なかったようです。確かに巻数の若いところでは、けっこういじめっこを殺しちゃってますからねぇ(汗)。それから、あまりに過激な復讐の描写ですから文庫版になって少し描き直されている部分があります。例えばガレキの山の下敷きにして殺害→恐竜の幻覚を見せて驚かせる・・・といったように。少々残念な気もしますけど、そのくらいではこの作品の面白さは損なわれない、そのくらいの傑作であるとも思います。

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恐怖新聞(つのだじろう)

「うしろの百太郎」「メギドの火」などの作者の、つのだじろうさんの有名な作品です。

【ストーリー】
霊やオカルトを信じない中学生・鬼形礼。ある夜、彼の家に謎の新聞が届く。新聞の名は「恐怖新聞」。一度読むごとに100日命が縮まるとされる恐怖新聞が配達されるようになって以来、鬼形は”ポルターガイスト”に摂り付かれ、奇妙な事件に巻き込まれるようになる。

つのだじろうさんのオカルト漫画はたくさんありますけど、一番エンターテインメント性が高いというか、漫画として面白く読ませる事を志向されて描かれているように感じます。テーマは「霊魂」「UMA」「UFO」「呪い」など多岐に渡ります。一般的にオカルトに分類されるテーマ以外にも、「時代劇」「教訓話」「埋蔵金発掘」などちょっとイレギュラーなテーマも。。そしてそれぞれを章立てして短編エピソードを重ねて進むケースが多いです。それぞれテーマを深く掘り下げた内容になっているのですが、章立てされていることによって非常に読みやすくなっている部分が私としては高評価です。

そんな中にもやや長めのエピソードもありまして、その完成度も高いです。悪魔に呪われたカソリック神父一家の壮絶な戦いを描いた「悪魔のカード」、ポスターガイストとの最終決戦を描いた最終エピソードの「他人の顔」は特に圧巻のストーリー展開で大傑作だと思います。

私が初めてこの作品を読んだのは小学生の頃ですから、当時は本気で怖がっていましたけど(笑)、今になって読み返してみるとストーリーの良さが出色で漫画としての完成度の高さに感心します。


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(秋田文庫・全5巻)

恐怖新聞(1)↑
恐怖新聞(2)
恐怖新聞(3)
恐怖新聞(4)
恐怖新聞(5)

メギドの火(つのだじろう)

MEGIT160.jpg「恐怖新聞」「うしろの百太郎」などの代表作を持つ、つのだじろうさんの作品です。

【ストーリー】
平凡な中学生の北斗一生の身の回りに、腕時計が狂う、車道の車が消滅する、顔に北斗七星形のホクロがあらわれるといった不思議な現象が頻発。北斗一生は”宇宙とのコンタクト・マン”と自称する美少女・星琴絵と出会い自身もUFOからコンタクト・マンに任命され、様々な超常現象を体験する。

つのだじろうさんのオカルト漫画としては、幽霊、超能力、UMA、UFOなど、テーマが超常現象全般に渡る「恐怖新聞」や、テーマが幽霊に絞られた「うしろの百太郎」が有名ですが、この作品「メギドの火」のテーマはUFOとノストラダムスの諸世紀です。どちらかというとつのだ作品の中ではマイナーな部類ですけど、私としてはかなり好きな作品です。

主人公・北斗一生がUFOからの指令を受けて”宇宙とのコンタクト・マン”に任命されるワケですが、UFO関連のテーマに、いわゆる「ノストラダムスの大予言」のつのだじろう流の解釈を下敷きにした壮大な物語を巻き込んだダイナミックなストーリーになっています。展開が突拍子もなさ過ぎてカオスな様相を呈するわけですけど(笑)、ここまで強烈な暴走ぶりは他のつのだ作品に比べても出色です。

つのだじろうさんの作品は、シリアスでダイナミックなストーリー展開を素直に楽しむのも良いのですけど、細かい部分でツッコミを入れつつ笑うというナナメ向きからの楽しみ方もできるので、ある意味2度おいしいです。この作品でもヒロインの星琴絵が北斗一生のクラスの転入してきた際に自己紹介で「星琴絵です、ニックネームはベガです!」と言い放つという、普通だったら転入初日としては相当思い切った行動をとってみたり、相当ハイレベルな笑いが含まれています。実にいいもの見ました。


現在はちょっと入手しづらくなっているようですけど、文庫版の古本では時々見かけますからもし見つけたらぜひお読みいただくことをおすすめします。ボリュームも文庫版で全2巻とお手ごろですから。